Dr. John Peterson Myers
ジョン・ピーターソン・マイヤーズ博士
『奪われし未来』共著者、Environmental Health News 主宰
本日、皆さまに挨拶できることを嬉しく光栄に思います。長年の仲間であるダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議や、グリーンコープ、あいコープみやぎ、コープ自然派、京都高齢者生活協同組合の皆さまにもご挨拶申し上げます。
1997年に『奪われし未来』の日本語版が出版された後、紀宮さまは30歳の誕生日に、環境ホルモンに強い危機感を持っ
ていることを表明されました。トシ・シオダ博士と私は、紀宮さまと当時の皇后陛下、天皇陛下に招かれました。皇居の中のご家族の食堂で内分泌かく乱作用の科学を説明したことは、今でもしっかりと覚えています。
当時、日本で内分泌かく乱作用への科学的関心が高い関心を集めたことは、忘れがたいことです。私は何度も太平洋を横断し、この問題について講演し、議論をしました。しかし、残念ながら、日本の化学産業界は政治的に非常に強力で、環境ホルモンは重要ではない、と政府を説得したのです。
今、20年以上経って、私たちは、産業界がどれほど間違っていたかを分かっています。彼らは科学について嘘をつき、日
本政府は関心を失いました。
しかし、幸いなことに、内分泌かく乱作用に関する研究は、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、そして現在では中国でも続けられています。何十億ドルもの資金が、この研究に投入されました。私たちは今、内分泌かく乱作用が、私たちの生殖能力、知能、さらには社会に対する脅威であることを知っています。
米国内分泌学会(Endocrine Society)―世界最大の専門家、医学者、科学者によるホルモンに焦点を当てた学会は、一
連の政策文書を、長年にわたって発表し、内分泌かく乱物質が人間の健康に対する重大な脅威であると説明しています。世界保健機関(WHO)は、2012年に声明を発表し、内分泌かく乱作用が世界的な公衆衛生上の脅威であると結論づけました。
そして2020年、欧州連合は内分泌かく乱作用の科学を、持続可能な化学物質戦略の重要な部分と位置づけました。
日本は約20年間、内分泌かく乱作用を無視してきました。出生率が急落し、日本中の若者の行動がおかしくなっていま
す。これは変えなければなりません。
ですから、NGO のコミュニティがネットワークを形成し、再び政府に働きかけ、この内分泌かく乱作用という、実存的な脅威への関心を活性化させるようということを聞き、私はとても嬉しく思っています。手遅れでないことを祈ります。
(日本語訳 JEPA事務局)