Dr. Leonard Trasande
レオナルド・トラサンデ博士
ニューヨーク大学医学部教授
有害化学物質から子どもを守る新しいネットワークを支援できること、そしてダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議の人たちと共に仕事ができることを嬉しく思います。コロナ禍で中断してしまった部分もありますが、長年にわたり、日本中の様々な団体が、子どもたちを内分泌かく乱化学物質から守るために行動しているのは素晴らしいことです。
有害物質へのばく露は、永久かつ生涯に渡り、人体のあらゆる部分に影響を及ぼします。子どもの発達中の脳から、代謝、肥満、糖尿病だけでなく、不妊などの生殖にも影響し、最終的には、ある種のがん、特に内分泌系のがんを引き起こすことが分かっています。人体の基本的なシグナル伝達物質である内分泌ホルモンをかく乱すると、その影響は永続的で、生涯にわたってあらゆる範囲に及ぶのに、多くの化学物質は、ホルモンのような人体の分子を念頭に置いて作られてはいません。その結果、潜在的な影響は人間の健康だけでなく、経済全体にとっても重大なものとなっています。ヨーロッパでは、内分泌かく乱化学物質のコストは、国内総生産の1.2%に相当します。米国ではもっと高く、国内総生産の2.3%にも及びます。私たちは、これらの化学物質が、文字通り私たちを病気にし、太らせ、貧しくしていることを知っています。
私の本(『病み、肥え、貧す 有害化学物質があなたの体と未来をむしばむ』光文社、2021年)が日本のメディアで紹介され、一般にも売られていることを嬉しく思います。そして、それが、皆さんが伝えようとしているより広いメッセージを支えてくれることを期待しています。このような機会を頂けたことに感謝し、この新しいエキサイティングな冒険がうまくいくことを祈っています。
(日本語訳 JEPA事務局)